肉を食べるベジタリアン?
肉を食べるなんて、ベジタリアンじゃない。
そう思われる方は、間違いなくまっとうな方です。
俗に「ベジタリアン」とはいいますが、分類がたくさんあります。チーズはOK、卵はOK、魚は肉じゃない等など。その中でも一番ゆるい感じの人を「フレキシタリアン」と呼ぶそうです。3年前に海外旅行で、イギリス人と雑談していたときに「自分はフレキシタリアンだ」と言われて、とても新鮮な響きと、なんだかズルいなぁという印象を受けました。
半年くらい前に購入したベジタリアンの専門誌に載っていたのを思い出し、開いてみたらベジタリアンには13種類も分類があることを知りました。
フレキシタリアンを好意的に解釈すれば、基本はベジタリアンだけれど肉を食べたいときには我慢せずに食べる人。雑誌の表のタイトルにはプラントベース食と書いてあるので、たぶん、フレキシタリアンはベジタリアンではないのだと思います。
海外に目を転じると、アメリカやイギリスでは10代の人を中心にベジタリアンが増えているといまれます。10%を超えるという記事もあります。ベジタリアンが10%ならフレキシタリアンはもっとたくさんいるのだろうと想像します。
ベジタリアンの人に、環境問題に対する関心が高い人が少なからずいます。「南米大陸の原生林を焼いて、その後に肉牛の牧畜のための牧場を作るのは環境破壊だ。だから、肉を食べるのは環境に良くない。」といった感じでしょうか。なるほどなぁ、と思います。
環境意識の高まりを背景に、代用肉が少しずつ広まってきました。私が最初に試食したのは15年ほど前、愛知万博の時でした。最近は近所のスーパーでも、大豆を原料とした代用肉で作ったハンバーグなどを見かけるようになりました。レトルトパックで湯煎や電子レンジで加熱すれば食べられるタイプを試しに購入して食べてみましたが、肉のハンバーグと変わりない感じでした。
斜に構えてみれば、代用肉は「肉が美味しい」という価値を大豆で表現しているとも言えます。「肉は美味しいけれど訳あって肉は食べない」というのなら、我慢せずに肉を食べたほうが良いのではないかという気もしないでもありません。その意味ではフレキシタリアンの方は自分の欲求に正直で好感を持てるような気がします。
長年ベジタリアンだった人が、環境のことを考えたら結局は動物を食べることになったという事例をときどきインターネットで見かけます。ネット動画の話ですが、現代の社会から離れてニュージーランドの山間部で狩猟採取による旅の生活をする中で、肉を食べるようになった人。あるいはアメリカで、有機栽培の農場を経営する中で、農作業の補助として牛を飼って、その牛が現役を引退するときには食肉として食べるようになった人。など。
もともと多くの地域の食文化の一部として肉食は昔から続けられています。欧米の人が現在のように沢山の肉を食べるようになったのはこの100年ほどの変化に過ぎません。たまに少し肉を食べるくらいで自然環境とのバランスはとれるのではないかなぁという気もします。フレキシタリアンの人が持続可能な社会の鍵を握っているのかもしれません。
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