自由な精神で楽しむコツ
近所の図書館でDVD「幸せの絵の具」を借りてきた。
「幸せの絵の具」は、海外での公開は2016年、日本では2018年に劇場で上映された。主人公の女性モード・ルイスは、カナダのフォーク・アートの画家として、カナダではとても有名らしい。モードは1903年生まれで、1970年に67歳で亡くなっている。私はこの映画ではじめて知った。
物語は、今から100年ほど前(電気が家庭に普及し始めた頃)、カナダの田舎の小さな漁村で展開する。モードは、若年性関節リウマチで、日常生活の範囲の運動にも支障がある。それでも、港近くの小さな家に住む漁夫のところに住み込みの家政婦として働きはじめ、後にその漁夫と結婚した。子どもの頃から絵を描くことが好きで、「絵を描いてさえいられれば幸せ」というようなセリフが彼女の性格をうまく表している。
ベッドルーム1つ、リビング・キッチン1つという小さな家。2人のぎこちない暮らしが始まり、月日が経つうちに家の壁やガラス窓に直接絵筆で彼女が描く絵が増えていく。・・・・・。
映画が終わりエンディングロールの前に、当時のモード・ルイスを白黒の動画フィルムで撮った映像が数秒流れ、「本当にそんな暮らしをした人がいたんだ」という驚きと感慨、そして、晩年のルイスの笑顔に何か救いのようなものを感じた。
心身に障害はない方が良い。誰もがそう願うと思う。若年性関節リウマチという病気に対して、「乗り越える」でも「打ち勝つ」でもなく、「受け入れる」という態度で生きたように描写しているところが、この間コロナウイルス感染症が拡大する中で開催されたオリンピックの報道とは対照的に感じた。そしてモードが「幸せ」に暮らしたと感じられたところに救いがあるような気がした。
DVDのパッケージを読み返すと監督アシュリング・ウォルシュの紹介に続いて、「どんな人生でも自由な精神で楽しめば、素晴らしいことが待っている」と教えてくれる感動作、と書いてあった。「」内はおそらく監督の言葉をどこからか引いた言葉だと思う。
(※モードの作品はとてもチャーミングで、DVDのおまけとして10点くらいの絵が見られるようになっています。)
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