飽和食料自給率

「飽和食料自給率」という言葉や数値の定義はない。今、はじめて私によってここに書かれたのだと思う。今朝(2021/8/26)中日新聞に食料自給率の記事が掲載されていた。最近は、こうしたグラフを見るたびに「飽和食料自給率」と読み替えている。

日本は飽食の時代と言われて久しい。最近はその裏を返してフードロスということがよく言われるようになった。

「食用仕向量」という言葉を今日はじめて知った。この言葉は食料自給率とフードロスを考える上での重要な言葉になる。2018年では8291万トン。そのうち、加工などで廃棄される総量は2842万トン(そのうち、フードロスに相当する量は646万トン)。約34%が廃棄されている。フードロスは約8%となる。「食料自給率」は「国内生産量」を「食用仕向量」で割った数値だ。

悩ましいのは、おなじみのカロリーベースの食糧自給率と廃棄率は計算の仕方が異なることだ。豚肉や牛肉などの品目別は重量を基準にしているので、同じように計算される。そして、輸入量と国内生産量の変化がひと目で分かるグラフが、インターネットで簡単に見ることができる。1970年頃から日米の貿易摩擦が顕在化する。その後から、豚肉の輸入が伸びていることがよく分かる。国内生産量の減少量に対して、大幅に増加している。日本の人口はこの間に10%程度増えたくらいと思われる。(農水省に電話で確認したところ、カロリーベースではこうしたグラフも表も公開できる資料が現在存在しないということだった。)

想像を少したくましくすると、「飽和食料自給率」がイメージできると思う。

日本の食料自給率は、供給量を基準にして計算されている。コンビニなどで廃棄される弁当を含めた値になる。

商売の道理として、今週100個売れた弁当を次週110個売ろうと思ったら110個以上の弁当を用意しなければ実現されない。実績との差し引き10個は商売人の勘所。売れなければ食品ロスとなる。実際には消費意欲を喚起するために、棚の賑わいを演出して、120個並べるというのが実態に近いと思う。つまり、消費量に対して充分な供給をして、消費が飽和状態(これ以上消費できない状態)になるような販売促進をしている。この飽和した状態を前提に経済活動が行われ、それを数値化したのがいわゆる食料自給率だ。

だから、これを私は「飽和食料自給率」と思っている。フードロス削減の活動で「残さずに完食する」という考え方がある。今日本の食糧事情はお腹いっぱい食べたうえに、食料ロスが発生している。満腹の状態から、さらに食べるのはなかなか難しいと私は思う。


出典

豚肉のグラフ >>>こちら

https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_001335.html

参考

総務省資料 人口統計 >>>こちら

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc135230.html

農水省資料 食料自給率 定義 >>>こちら

https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/012.html

フードロス(2018) >>>こちら

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/efforts/pdf/efforts_180628_0001.pdf




NPO法人 風舎

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